昨日、履物屋加藤さんと素材のことについてちょっとお話ししました。それで何となく思ったのだけど、私の母や叔母など良く素材や生地の名前を知っていたなあと。戦後洋裁を習うかたが増えて、母も花嫁修業に洋裁や編み物など習いに行ったようです。だから洋装の生地屋さんで生地を買うことも多くて、実際手にして選んだりしたんだろうなあ。今、生地屋さんって本当になくなっちゃいましたねえ。

東京に仕入れに行く時はだいたい始発のこまち２号に乗ります。A席に座って外の景色を眺めていると角館の駅を過ぎたあたりで秋田内陸縦貫鉄道の車両が走って来るのが見えます。たった２両編成ですが水田の上を山の端をなぞるように走る景色が千と千尋の神隠しのワンシーンのようなのです。もう少しすると稲の穂が伸びてみどりの上を、秋は実った黄色い穂の上を、冬には真っ白な雪景色の中を走ってきます。車両の色は赤や黄色、青、白などあるようで、水田に青い車両を映してすべるように走って来たり、白い雪景色に赤い車両が走って来たりする景色がきれいで仕事に出かけるのにちょっと旅行気分になってしまいます。

週末、茶房バティックさんのイベントに参加してきました。バティックさんはこれまでにも「アジアに遊ぶ」と題してバティックさんらしい素敵な催し物をされています。今回は「長唄」。杵屋三七郎さんが歌舞伎の演目に合わせての演奏とお話を楽しくして下さいました。歌舞伎通のかたも沢山参加されていらしたようですが私のような初心者でも楽しめるようお三味線の基本からお話ししてくださってとても楽しかったです。なかなか第一線で活躍されていらっしゃるかたと身近にふれあう機会はないことなので貴重な時間でした。最近は市民会館でも年に一度くらいは歌舞伎の公演があります。こういうお話を聞いてから行かれると一段と面白いのではないかと思います。舞台の情景をイマジネーションしながらお三味線を聞きました。バティックさんはこれまでも「アジアに遊ぶ」で二胡の演奏会やお香の会など素敵な催し物をなさっています。大きなホールでの催し物と違って身近に参加できますしなかなかお会いすることの出来ないかたにも接することが出来ます。どうぞこれからも続けて行って欲しいと思っています。

最近お客様から「ネットで販売しないのですか？」と聞かれることがあります。申し訳ないのですけど今のところは考えていないのです。確かにネットで販売すれば便利ですし、特に遠方のお客様などはそう思われることでしょうね。ご承知のとおりお店も小さいですしネットで販売するような規模でないことも一つの理由なのですけど、古い考え方かも知れませんがお客様があれこれと吟味してお買い上げ下さるお買い物の時間も楽しんで頂きたいと思うからなんです。今ではネットでも手に入らないものはない時代です。欲しいブラウスを会話もなく手に入れるよりも、実際お店にお出かけ下さって手にして肌触りや実際の色合いが自分に合うかと確かめるとか、コーディネートの仕方なんかもお客様のお出かけの目的に合わせてお話しすることも出来ます。そのお話のなかでお客様一人一人違うライフスタイルに合わせてもっと良いものをお勧めすることもできます。また、デザイナーさん、メーカーさんの気持ちや出来上がるまでのエピソードをお伝えすることもあります。それはきっとネットではお伝えすることの出来ない情報かもしれないと思うのです。お店では外の光で色を再度確かめていかれるかたもいらっしゃいます。帽子のかしげ方ひとつをあれこれ確かめて自分に合うかぶり方を探して行かれる方もいらっしゃいます。お買い物の楽しみってそういうところにもあるのではないでしょうか？

murder pollenの展示即売会が終了しました。期間中ご来店下さいましたお客様ありがとうございました。今回はmurder pollenの世界を感じて頂こうと思っていましたので、みなさんが「これぞmurder pollen！」というようなネックレスやリングを選ばれると（私もスゴイ！って思うくらいです！）うれしくなりました。それから、PASSOの１０回目のお誕生日をお祝いして下さったお客様、今回のイベントを宣伝、紹介してくださったみなさん、お花をアレンジしてくださったグリーンフィンガーさん、ありがとうございました。そして、これまでPASSOを支えてくださったお客様、本当にありがとうございました。これからもみなさんに喜んでいただけるようなお店にしたいでと思っています。まずは２０年目をめざして！

展示会というのはやはり普段は見ることの出来ない商品をみなさんに見て頂ける本当に良い機会だと思っています。murder pollenさんの天然石のネックレスは石の配列や組み合わせとボリュームが独特で素敵だなあと思ってはいるのですが普段はなかなか思い切った仕入れが出来なかったりします。でも、今回の展示会ではみなさんかなりいいぞ！と思う物を購入されていかれて本当にうれしいです。

街のなかをおしゃれさんが歩いているのを見かけると、その街はきっとおしゃれな街なんだと思う。街の雰囲気って歩く人もその要素に含まれると私は思います。murder pollenの展示会中はお店の中もお花畑のようになっているけれど、お買い上げになって下さったかたが早速「つけて行ってもいいですか？」と身につけてお帰りになるとお店の中からお花がこぼれでたようで、街もおしゃれで素敵に見えてきます。５／３は展示会中ではありますが都合によりお休みさせていただきます。４日からまた再開いたしますので、どうぞ足をお運び下さい。